『会社を立て直す仕事』を読んで

最初に申し上げますが、当社が立て直すべき会社だということではありません。
今回も、新聞の広告欄で目に留まったのですが、不振企業に限らず全ての企業に当てはまる「問題解決のヒント」があるということで、興味を持ちました。
著者は、大手コンサルティング会社出身のターンアラウンド・マネジャーで、アスキー、カネボウという2件の企業再生の中心人物として辣腕を振るい、「企業再生請負人」などと呼ばれているようです。
まえがきの中で、再生が必要な不振企業に限らず、あらゆる企業にとって必要な変革のための手段をまとめたもので、何らかのチームで作業している人、そのリーダーシップを取る人、会社を良くしていこう、チームを良くしていこうと考えている人達向けに書いたというようなことが述べられています。

本書の中で最も納得できたのは、マーケティングに対する考え方、向き合い方です。
マーケティングという言葉はご存知ですよね?
人によっては、販促活動や市場調査といった個別の業務のことをそう呼ぶ場合があります。
一方で、なんだかとても広範囲な概念で、具体的に何のことを言っているのか分からないという方もいるようです。
私が以前所属していた会社は、「マーケティング・サービス」を提供している「マーケティング・カンパニー」と称していました。
マーケティングの範囲を広く取りつつ、具体的な業務を説明しやすいので、例としてご紹介します。
その会社は、某大手自動車メーカーを主要顧客として、販売員が売りたくなるような「売る気づくり」、消費者が買いたくなるような「買う気づくり」、購入した消費者が快適に使い続けられるための「満足づくり」のお手伝いをしています。

自動車のマーケティングでは具体的には、
○サービススタッフが使う修理用のマニュアルや、車に必ず備え付けられている取扱説明書の原稿の作成
○それらの技術情報を基に、新型車の解説書の作成
○販売員の教育や店舗での販促活動の企画・運営
などを手掛けています。

開発段階で、新型車の特徴や新たな機能の情報を入手してマニュアルを作成するだけでなく、開発者の想いやアピールポイントを聞き出し、どのように購入者に訴えかけるかを一緒に考え、販売員教育や店舗での展示の仕方を提案します。
それらの前に、購入者が何を求めているのかの調査も行います。
この会社にとってマーケティングとは、「顧客に、満足を超えた感動を提供すること」と定義されていました。
本書にも、マーケティングとは顧客を感動させることであり、どうしたら顧客を感動させることができるかを考えて行動することこそが、マーケティングの実践だと書かれています。

その意味では、マーケティング部門や営業部門のみが行うのではなく、部門にかかわらず作業の内容にかかわらず、誰もが意識すべきものがマーケティングなのだと思います。
当社の顧客の求めるものは一つではなく、また、常に同じとも限りません。機械の性能かもしれませんし、納期かもしれません。
製造部門が設計部門に、設計部門が営業部門に、「こうした方がお客さんはもっと喜ぶのでは?」という議論を持ち掛ける場面が、今以上に多くなると良いと思います。

先日読んだ別の本にも、「顧客のために」と「顧客の視点で」は全く別物で、必要なのは後者だと書いてありました。
顧客の視点を聞き出し理解すること、そして形にすること、全てがマーケティングなのでしょうね。
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『働く君に贈る25の言葉』を読んで

前回の『働く力を君に』と同じような本を選択してしまいました。
「働く」とはどういうことか、ということに、いかに自分の関心が向いているのかが分かります。
この齢で?と思わないでもないのですが、永遠のテーマだと思っていますし、自分の仕事人としての期間はまだまだ長いので、大先輩の話には興味が向きます。
本書の著者は、東レの元役員で東レ経営研究所の特別顧問の佐々木恒夫氏です。
家庭の事情もあり、仕事の効率を追求する必要性に迫られ、その過程で様々な気付きがあり、考え方と手法を習得されたそうです。
本書ではそれらを、就職したばかりの甥っ子に手紙で伝えるというスタイルで、25のテーマに分けて書かれています。
2010年の初版ですが、自分の就職の頃に読みたかったなぁ、と思います。
勿論、先にも書いたとおり、まだまだ続く人生、今からでも取り入れるべきところがあると思いましたので、特に心に残ったいくつかのテーマに絞ってご紹介したいと思います。

04. 「それでもなお」という言葉が、君を磨き上げてくれる。
仕事の意味を、自己実現の更に先にある「全ての人を愛する境地に立つこと」、そしてそのために自分を磨き続けることであると表現されています。
そして、『それでもなお、人を愛しなさい 人生の意味を見つけるための逆説の10か条』という本が紹介されています。
その中から、一つの文章だけご紹介します。

   世界のために最善を尽くしても、その見返りにひどい仕打ちをうけるかもしれない。
   それでもなお、世界のために最善を尽くしなさい。

ちょっと大袈裟に感じるかもしれませんが、目の前の仕事一つにも置き換えられると思いました。


13. 書くと覚える、覚えると使う、使うと身に付く。
メモを取ることの重要性を再認識させられました。
また、取るだけでなく、取ったメモは読み返す、それにより記憶が呼び起こされ、その時のやり取りを反芻することができ、再度考えることができ、時には結論が間違っているかもしれないと気付くことができる、とのこと。
これは自分でも気を付けて実践しており、ちょっと嬉しくなりました。


14. 言葉に魂を吹き込むのは、君の生き方だ。
冒頭では、話す時には要点を手短に述べること、などの話し方についてのアドバイスから始まるのですが、最終的には説得力が必要だと書かれています。
そして、その説得力は必死の努力を続けないと出ない、仕事に真剣に向き合うことで言葉の重みとなる、とも。
話に魂を込めるのは、自分自身の生き方だという結論に共感するとともに、自分磨きの大切さを再認識しました。


25. 人を愛しなさい。それが、自分を大切にすることです。
宗教じみていると感じたら、ごめんなさい。
実際の内容はとても現実的で、仕事を進めるためには苦手な人を減らし好きな人を増やした方が良いと書かれています。
そして、好きな人を増やすには、相手を好きになることだというのです。
このテーマで紹介されていて興味深かったのが、「働」という漢字に込められた意味の話でした。
「人のために動くことを、働くというのだよ。人のために動いていると、愛される人間になる。だから一生懸命働きなさい」という教えを込めて作ったのではないか、とのことです。


著者の考える「働くことの意味」が全編に貫かれており、また共感できるところが多々あり、興味深く読むことができました。
特に、若い方に強くお薦めしたいです。

株主総会②

前回に続き、総会ネタで失礼します。

まず、先日行われた当社の株主総会が滞りなく終了したことをご報告します。
想定していたシナリオの中で最もスムーズに進行し、予定していたよりも短時間での終了となりました。
もちろん、議事については一つずつ丁寧に説明し、質問・異議の有無を確認した上で採決を取るという、法律に則った形で行われましたので、会社側としては最高の総会と言って良いでしょう。

株主さんが増えると、そうはいかなくなります。今日は、過去の経験からのエピソードをご披露しようかと。

以前在籍していた上場会社(株主数1,000名程度)での話ですが、総会の事務局という役割をしていました。
具体的な役割は、まず、議長(社長)が当日読み上げる原稿を作成します。
上場会社をはじめ、近親者以外の株主が多い会社の場合、後日、運営・進行の不備を指摘されないように、最大限の配慮が必要です(最悪の場合、総会のやり直しの恐れもあります)。
そのため、資料で報告している決算の数字や、業績の背景となった経済情勢・業界動向などの部分を議長またはナレーターが読み上げるのか一般的で、そのための原稿は事務局が用意します。
当日は議長の真後ろの席に座り、発言内容、特に数字に誤りがあれば、即座に指摘して訂正してもらいます。
実際にその機会は何度かあり、ある年の総会で同じところを何度も読み間違えるということがありました。
総会終了後にその社長さんから、「おい、そのちゃん、あんなに訂正される総会、俺は見たことないぞ」と笑いながら言われたのですが、「あんなに読み間違える議長、見たことないですもん」と、こちらも笑ってお返ししました。
(もちろん、お互いに冗談だと分かってのことです。)

株主さんからの質問に対する想定問答集を作成するのも、事務局の仕事です。
経済情勢に関することや、会社の将来性に関すること、個別の事業の採算に関すること、中には残業代はちゃんと支払っているか、従業員のモチベーションを高めるためにどんなことをしているかなど、様々な質問を想定して回答を準備します。
また、急に「配当金を増額しろ」と言われた場合の対処方法も準備しておきます。
総会での質問をまとめた、電話帳サイズの本が出版されていて、自社でも聞かれそうなものを抜粋して作成します。
事務局のリーダーの性格によると思うのですが、ある会社では数百問になりました。
当日は、株主さんからの質問に対し、最も適当なものをその問答集から探し出し、議長に手渡すというのが求められる役割なのですが・・・、そんなことできるか!というのが事務局の本音です。
実際には、具体的な数字での回答を求められた時にそれに該当するものを手渡す程度で、それ以外は自力で答えるか、他の役員さんに振ってもらうしかありません。
我々の手元には「○○取締役に振ってください」とか「ご自分でお答えください」などのカードを用意しておき、議長が助けを求めてきそうなときには、すかさず渡していました。

前回も書きましたが、株主総会は株式会社にとって最も重要な会議で、法律で厳格に規定されている事柄が多く、なおかつ常に情報を共有している人達ばかりが参加する会議ではないため、必要以上の神経を使い、最大限の準備を行う必要があります。
それは会社の大小にかかわらず、複数の株主さんがいれば同じことだと思います。
ということで、今回滞りなく短時間で終了できて、ホッとしています。

株主総会

22日(月)は、57回目の定時株主総会です。
あまり馴染みのない方もいらっしゃると思いますが、実は株式会社である当社にとって最も重要な会議です。
会社法では、「(株主総会の権限)株主総会は、この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。」となっており、その重要度がお分かりいただけると思います。
とは言え、本当に「一切の事項について総会で決議する」ことが現実的でない会社もあります。
株主の人数や会社との関係、そして会社の規模によるのですが、その場合は複数名の取締役からなる取締役会を設け、業務の執行に関する事柄はそちらに権限移譲するというスタイルを採ることになります。
当社の場合も、この「株主総会+取締役会」というスタイルです。
ちなみに、こういうのを「会社の機関設計」と言います。
日本の会社では、取締役は従業員の上のポスト(かつ、管理職を委嘱されている)という場合が圧倒的に多く、従業員同様毎日出勤しているので集まりやすく、業務にも精通しており、業務執行に関する判断は彼らに任せるという運営が合理的ということですね。

では、株主総会で何をするかというと、主に以下のものです。

1.役員の選任・解任、報酬の額の決定
   業務執行に関する判断を任せる人(取締役)とその報酬は、株主が選びます。
2.決算案の承認
   会社がまとめた決算(1年間の成果)を承認します。
   ほとんどありませんが、異議があれば決算のやり直しを求めることができます。
3.利益剰余金の処分の決定
     利益の分配は株主が決めます。
4.定款の変更の決定
     定款は会社の憲法とでも言うもので、事業の内容や決算の時期、役員の人数や任期など、
    会社の根幹を規定しているもので、これも株主が決めます。
5.資本政策に関する基本的な事項の決定
     資本金の額や株主の増減に関すること(例えば、出資者=株主を増やす)で、
    これも株式会社の根幹を成している事柄なので、株主が決めます。

権限移譲はしてもコアな部分は渡さない、というスタンスが良く分かりますね。

実際の総会がどんな風に進むかですが、これは会社のスタイルや規模によってまちまちです。
両極端な例を挙げますと、

個人が自分の資金のみで創業した株式会社の場合、株主は社長である「俺」一人で、全て自分で決められるので、株主総会を開く必要はありません。(その場合でも、法律上はやったことにして書類を残す必要があります。)

逆に上場している大企業の場合は、個人株主の方も多数出席し、質問や発言の機会がありますので、非常に緊張感があります。
会社に好意的な株主ばかりではありませんし、その時の会社の業績に満足している株主ばかりでもありません。
中には、総会を妨害してやろうという株主がいるかもしれません。
質問なのか文句なのか愛情表現なのか、脈絡のない発言が噴出することも良くあります。
それらのことを想定して、顧問弁護士に同席してもらい、警察の方にも株主のふりをして潜り込んでもらい、法律上の手続きを外さないように儀式のように進めていきます。

当社の場合は、上場会社ほどの緊張感や儀式っぽいところはないものの、実際に開催してそれぞれの議事について説明し、質疑応答を交わすという通常の進行になるでしょう。

いずれにしても、滞りなく終了することを願っています。

『働く力を君に』を読んで

セブン&アイグループ総帥の鈴木敏文氏が、仕事に取り組む姿勢を紹介している本です。
アメリカで見たセブンイレブンを日本に普及させ、セブン銀行やセブンプレミアム(割高なプライベートブランド)といった本当に顧客が求めているものを次々と発案・成功させた方です。

それら成功しているアイディアを思いついた時点から実際に実現させるまでの紆余曲折が紹介されており、その事例を通じて繰り返し述べられていると感じたポイントは、

  ・常識だと思っていることを疑う
  ・ブレない視点を持つ
  ・素人の発想を大切にする
  ・その時その時、懸命に働く

以上の4点だったように感じました。

「常識」という言葉は、説得力があるように感じますが、実は「真理」ではないんですよね。
以前、「常識だろ!」が口癖の上司がいました。
自分の価値観と合致すれば聞き流せるのですが、合致しないときには反発したくなりました。
勿論、自分の常識の方が正しいと言うつもりはないんです。
どちらの常識が正しいかではなく、本当に正しいこと(真理)がどうかということが大切だと思います。
その時に必要になるのが、「ブレない視点」だそうです。
その点、素人の発想は貴重ですよね。
それまでの常識ではなく、どうあるべきか、そのためにどうすべきかという思考になりますから。
ということで、上記4点のうち3つは結びついていると思います。

もう一つの点については非常に強く共感でき、印象に残りました。
最近読んだ他の本の内容とダブっていたせいもあります。
その本には、「その時点で嬉しいことも悲しいことも、自分の人生にとっては必要なピースなのだ」というようなことが書かれていました。
悪いと感じるピースを捨ててしまうと、いつまでたってもパズルは完成しません。
必要だと思うピースだけで作ると、完成したとしても小さなものになります。
一方、全て起こったことを受け入れて組み合わせていくと、大きなパズルが出来上がり、出来上がったパズルを眺めてみると、意味を感じなかったピースも必要だったと気付けるとのこと。

今回の本に戻りますが、伊藤さんの言葉にこんなものもありました。
「懸命に『行き当たりばったり』生きる」。
行き当たりばったりはいつものことなので、あとは「懸命に」を意識しようと思いました。
プロフィール

あすなろ

Author:あすなろ
自動機・省力化機械の開発・設計・製造組立の天竜精機

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