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最近、話題の本

  最近、世界でベストセラーとなっている「21世紀の資本」を読んだ。700頁以上にも及ぶ大著の本書が日本でも経済書など読んだことのない層まで広く読まれているというのは経済学部出身の私としては驚きだ。ピケティ教授が出演しているEテレのパリ白熱教室は日頃経済に興味など持っていない女房も見ていたというんだから推して知るべしだろうか。

 本書の内容だが、全体とすれば富や賃金の格差が歴史的にどう推移してきたのか、欧米諸国のデータを可能な限り遡りつつ実証的にとらえ、その原因として考えられる要因を論じたものだ。そして21世紀の今後を考える上で格差の解消を可能な限り進め、公平な社会の実現を目指すよう求めている。

 ピケティ教授によれば、20世紀初頭までの欧米諸国における一部大富豪への富の集中は第一次、第二次両大戦を通じて一旦崩壊し、戦後は世襲的な中産階級の出現とあいまって歴史的な構造転換がなされたとされる。特に実際に戦場となった欧州諸国でこうした傾向は顕著に見られ、日本においても同様なことがデータから見てとれる。ただし、世界的な低成長時代へと入りつつある昨今においては、再び格差は開き始めており、資産税の導入や累進課税の是非とともに米国で1980年代あたりから顕著に見られるようになった天文学的な超高給取りのスーパー経営者の是非について、教授は問題を提起している。

 翻って我が日本の場合を考えると本書をどうとらえたらいいのだろうか。私自身も自分の経験の中で、社会のあり方として先進国の中で日本と米国は対極にあり、欧州社会はその中間かなと感じてきたのだけれど、こうした格差についても同様なことが言えるようだ。もともと格差が相対的に少ない日本にあっては、上位1%への富の集中だとかスーパー経営者といった問題よりも長引く経済低迷の中で一億総中流と言われた中産階級の崩壊が進んできていることに注意が必要だろう。この点では、しばらく前の日経コラム「大機小機」で論じられた意見と同意見だ。

 税制や各種補助金制度を通じた所得再分配政策も重要なのだが、上記のような日本の状況に対処していくための本質的な施策とすれば経済成長政策が必須なのだろうと思う。ピケティ教授は人口減少対策と賃金政策が日本にとって今後極めて重要になるとの指摘をしているが、現在の政府が進める政策の中心もそれに沿ったものとなっている。問題は人口減少対策だろう。女性が働きながら子育てをし易い環境整備や第三子への補助金制度などでなんとか出生率を高めようとしているが、現状では大きな変化は望みにくく、いずれかの段階で移民受け入れをどうするのかという社会全体に大きく影響する問題に我々は向き合わなくてはならなくなる。ドイツでのトルコ移民やフランスでのイスラム系旧植民地からの移民の現状などを見るにつけ、本当に難しい問題で私自身も様々な感情や考えが浮かんで来て自分の意見がまとまらない。

 今回はとても堅い話で恐縮だけれど、たまにはこうした著書を読みながら自分たち自身も密接に関わりのある社会問題に目を向けるのも大事だと思う。女房とパリ白熱教室の話をしていてそんなことを感じた。以上
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自動機・省力化機械の開発・設計・製造組立の天竜精機

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