トヨタ式経営って?

  VWによる排ガス検査を免れるための不正ソフトの問題は、VWのブランドを大きく傷付け、同社の経営戦略に大きく影響する大問題となってしまったね。VWはこのところ急成長を続け、今年はいよいよトヨタを抜いて通年世界一かと目されていただけに数字を作るための無理が現場に行ってしまったんだろう。VWのような悪質な不正ではないけれど、トヨタ自身もGMを抜いて世界一になろうとするところで品質問題が相次いだよね。物事、「急」がつくものは注意が必要だ。例えば金融機関の与信審査においても急成長企業には気をつけるように言われており、実際、急成長企業は突然破綻することも多い。

 さて話はトヨタに戻るのだけれど、僕のような製造業界と違う業界で育った人間にとってトヨタの強みとはトヨタ生産方式と呼ばれるカンバン方式だとか間締めといった生産現場での無駄を排除する仕組みにあると今まで思ってきたんだよね。ただ、当社に来てacbさんの話を聞くとどうもそうじゃない。間違っているわけじゃないけれど、見方が浅いといういうか表面的な部分しか見ていなかったことが分かったよ。トヨタの強みは経営に対する考え方そのものにあり、更に言えばそうした経営に対する考え方をベースにした取組を継続的に実行することのできる現場での職場風土にあると言えるようだね。こうした点を体系的に確認してみたくなって読んでいるのが、acbさんが推薦してくれた「ザ・トヨタウェイ」(ジェフリー・K・ライカー著、日経BP社)。

 米国人が著者だけにトヨタ生産方式の背景にある考え方までロジカルに説明してくれており、とても分かり易いね。本書によれば、トヨタが大事にするフィロソフィとは代表的なものとして次のようなものがあるとのことだ。
・短期的な財務目標を犠牲にしても長期的な考えで経営判断する。
・標準化作業を絶え間ない改善と従業員の自主活動の土台とする。
・仕事をよく理解し、思想を実行し、他人に教えるリーダーを育成する。
・現地現物を徹底し、自分の目で確かめる。
・執拗な反省と絶え間ない改善により学習する組織になる。

 トヨタの本質的な強みがこうした考え方とそれを実行できる職場風土にあるのだとすれば、サービス産業や行政サービスでも真似できる可能性があるということになるのが嬉しいね。本書でも下巻の最後の章でそれを示唆している。ただし、そうした職場風土を醸成するのは、単に仕組みを構築するのと違って根気と時間が必要になるため簡単には出来ない。それだけに一旦そうした強みを持ったならば、簡単には他社が追い付けない強みを持ったということにも繋がるわけで、ちよっと次元が違う強みだね。

 こうして考えてみるとトヨタが世界一の自動車メーカーになる過程で生じた「つまづき」は急激な業容拡大によりトヨタウェイを浸透させ切れない領域が生じたためとも考えられるね。自動車の品質は搭乗者の命に影響することになるので決して疎かにしてはいけないものだけれど、トヨタの場合は新たな飛躍に向けた「つまづき」とも感じられるところが今回のVWの問題との大きな違いのように感じるね。以上
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自動機・省力化機械の開発・設計・製造組立の天竜精機

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