民主主義は万能か2

  パリで大規模なテロが起きてしまったね。テロはどんな場合であっても許されることではないし、犠牲になった方々の冥福を祈らずにはいられません。ロンドンに駐在していた頃もIRAの爆破テロ事件がしょっちゅう市内であり、運悪く遭遇してしまったら諦めるしかないなんて刹那的な感情を持っていたのを思い出すね。
 
 犯行声明を出しているISはなぜこんなに勢力を拡大してしまったんだろうと考えるんだけれど、そこには中東にまつわる近現代史が深く関わっているし、国体のあり方についての欧米的な考え方とそうでない考え方との根本的な違いも根っこにあると思うんだよね。ISはイラクにおいてはフセイン政権打倒後のシーア派政権の弱体化した統治能力の間隙をついて伸長しているし、シリアにおいてもアサド政権を巡る反政府派との内戦に中で勢力を伸ばして来ている。欧米の価値観でいくと、強圧的な独裁政権=悪で民主政権に移行すべきということになるわけで、僕も基本的には異論はないのだけれど、現実はそう簡単じゃない。異なる民族で構成されていたり、相容れない宗教や宗派間での対立構造を持っている国では民主選挙により多数派が勝っても少数派はそれを受け入れようとはしないんだよね。結局、国をまとめて行くためには強圧的な政権が必要となってしまう。欧州諸国の植民地支配の結果、人工的な国境線画定等を通じて異なる文化、宗派のグループが混在する国として生まれた中東各国あるいはアフリカ諸国は、国体を維持するための必要悪として強圧的な政権が生まれてきた。問題なのはこうした独裁政権は確かに言論や人権の弾圧という問題を起こし易いわけで、民主的な政権がいいんだと独裁政権を倒してしまうと湾岸戦争後のイラクのように混乱状態がずっと続くということになりがちだということだ。

 じゃあ日本は何ができるかということなのだけれど、空爆に参加するといった軍事的なものでなく、ソフトパワーでいろいろな貢献ができるのではないかと感じている。若い頃、アフリカや中東諸国を担当する中で感じたのは、人間というものは自分が属する集団と異質な集団は区別するもので、お互い腹が減っていれば対立は先鋭化するし、腹がいっぱい同士ならば違いを受けて入れてお互いの存在を目認め合えるということだ。ミャンマーが今回民主選挙により政権交代を果すけれど、同国の最近の経済発展がベースにあるものと考えられるね。そうした意味では長く続いた軍事独裁政権も言論弾圧等の問題点はあったにしても治安を維持し、外国が投資し易い環境をつくり上げてきたという点で評価すべき点もあるのではないかと思う。その軍事独裁政権とのパイプを維持し、同国の経済発展に少なからぬ貢献をしてきた日本の役割発揮のあり方に今後の中東やアフリカに対する日本の関わり方のヒントはあると思う。すぐに効果は出せないけれど、中長期的なスパンの中でのテロのない世界実現に向けた日本の役割は、民主主義という原理原則に固執しがちな欧米や自国の国益重視になりがちな中露と比べて決して小さくないと思う。以上
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自動機・省力化機械の開発・設計・製造組立の天竜精機

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